前回の「建築家とハウスメーカーの違い(2)」では設計費用について違いを解説させていただきました。
今回は、家づくりにおいて最大の費用を占める建設費の面からその違いに迫りたいと思います。
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(3)建物の価格について
「建築家に頼むと高くつくのでは?」
そんなふうに言われることが、私たちにもよくあります。
けれど、前回の記事でお伝えした通り、建築家というプロの代理人を味方につけることで、施工者との見積調整や価格交渉が可能になり、結果として適正価格で家を建てることができるようになります。
確かに一昔前までは、「アーティスト建築家」と揶揄されるような存在も多く、住まい手の予算や暮らし方よりも、自分の作品性を優先する建築家も少なくありませんでした。しかし、今は情報がオープンになり、建築家の姿勢や仕事の透明性が求められる時代。そうした一方的な設計姿勢は、かなり少なくなったと感じています。
少なくとも、スタンダードデザインは施主の代理人として、予算のことも、品質のことも、暮らしのこともすべて真剣に考え、胸を張って仕事をしています。
とはいえ、「建築家に頼んだら、やっぱり費用がかかってしまった」という声があるのも事実です。
なぜそんなことが起きるのか。
それは、建築家には基本的に「できない」「使えない」という制約がないからです。
市場に流通しているものはもちろん、オーダーメイドの家具や建具、特殊な材料、職人による手仕事など、建築家はほぼ何でも設計に取り入れることができます。だからこそ、特注が多くなればなるほど、当然コストも上がってしまうのです。
そしてこの「どこまでこだわるか」「何を優先するか」は、建築家ごとにスタンスが異なります。
たとえば、
「住宅とは、費用に糸目をつけず美しいさを優先して設計すべきだ」と考える建築家もいれば、
「とにかく安くつくってほしい」という要望に沿って性能を犠牲にして経済設計をする建築家もいます。
スタンダードデザインでは、クライアントと一緒に、「本当に大切にしたいものは何か」を探していきます。
まずは、できる限りたくさんの要望を出してもらい、それらを整理しながら、費用対効果を比較してから冷静に判断していくプロセスを大切にしています。
大切な部分にはきちんと費用をかける。
一方で、譲れる部分やこだわりの少ない部分には、既製品なども活用してコストを抑える。
家は完成した瞬間や、雑誌を飾る写真のためのものではありません。
実際にそこで暮らしはじめてからこそ、その価値が問われるべきものだと思います。
そして、建築に全ての費用をかけすぎてしまって、肝心の暮らしが成り立たなくなっては意味がありません。
私たちは、健康で安心、持続可能で美しい暮らしを大前提に、クライアントとともに長期的な視点で資金計画を立てていくことを心がけています。