前回の「建築家とハウスメーカーの違い(1)」に引き続き、今回は費用面からその違いに迫りたいと思います。
第一回のブログ
(2)設計費用について
「住宅メーカーだと設計は無料でやってもらえるでしょう? 設計に何百万円なんてとても払えない・・・」
これもよく聞かれる質問のひとつです。
ハウスメーカーの見積には出てこないかもしれませんが、実際には依頼者から見えないところで設計費用はかかっています。が、確かに設計費用は我々建築家と比べてとてもお手頃です。当然のことながら費用が安い分、時間も手間もかかっていません。選択肢も、設計にかける時間も限られたものになってしまいます。
これから何十年も暮らす家の設計、そんなに簡単なもので良いでしょうか。
設計費用についての誤解を解くために、もう少し踏み込んでご説明します。
私たち建築家がいただく設計料には、3つの柱があります。ひとつは、建物を実現するための詳細な設計。ご家族の暮らし方や価値観、土地の特性にまで丁寧に向き合い、唯一無二の設計図をつくります。
次に、見積の評価と調整・交渉。設計ができあがったら、それを実現するための工事費を見積もってもらうわけですが、その金額が妥当かどうか、相見積もりを含めてきちんと検証します。必要であれば調整のための設計変更や、業者さんとの価格交渉も行います。
そして、工事が始まってからも終わりではありません。工事現場での品質チェック(監理)も設計料に含まれる重要な業務です。設計通りに工事が行われているか、材料の選定は適切か、施工ミスはないか、クライアントの意図は伝わっているか等、図面と現場をつなぐ役割を果たします。
この三本柱を支えているのが、「建築家が施主と直接契約している」という事実です。つまり、私たちは完全に施主側の立場に立てるということです。
一方で、住宅メーカーに所属する設計者は、その会社の社員や、その会社と契約している設計事務所です。言い換えれば、雇用主である会社の方針や予算の枠内でしか動くことができません。もちろんその中で最善を尽くされている方も多いですが、根本的な立場の違いは明確です。
スタンダードデザインでは、いただいた設計料以上の「バリューアップ」を常に目指しています。建築家として、コスト・品質・デザインの最適なバランスを追求し、住まい手の期待を超える提案をすること。それが私たちの責任であり、使命です。
住宅は、人生で最も大きな買い物であり、これから何十年と過ごす大切な場所です。そこにプロの代理人(=建築家)をつけることは、単なる贅沢ではありません。むしろ、限られた予算をどう活かすかという意味でも、資金計画の重要な一部であると、私たちは考えています。